【ロスジェネ問題】について解説

ロスジェネって聞いたことがありますか?新卒の時に就職先が無く、その時から、様々な問題に直面している世代(ロスジェネ)です。本記事では、ロスジェネの問題について解説していきます。

ロスジェネ問題は?

ロスジェネの時代は、高校や大学を卒業した時、就職難だったこともあり、2021年現在では、ロスジェネ達

  • 非正規雇用者が多い
  • ひきこもりが多い
  • 未婚者が多い・出産をあきらめた人が多い
  • 消費支出が少ない

等の問題が言われています。

非正規雇用者が多い

正規雇用とは、会社等から直接雇用され、無期限の労働契約があり、フルタイムで労働されている者と定義されています。非正規雇用は、直接雇用されていない、無期限の労働契約でない、フルタイム労働でないなどの条件で労働している者を言います。一般的には、アルバイト、パートタイマー、契約社員、派遣社員、期間社員などと言われており、正社員以外の労働者です。非正規雇用者は、正社員に比べ、給料が少ない、雇用が不安定、昇進が無い、キャリア形成が無いなど不利な条件で働いています。

ロスジェネは、バブル崩壊後に大学や高校を卒業をしたため、企業の多くは採用を減らしたり、止めたりする中、就職活動に挑みました。しかし、正社員として就職できた者もいましたが、就職できなかった者の中には、生活のため非正規雇用者とならざるを得ない者もいました。また、企業は、採用後にすぐに解雇できるといった制度もあったことから、ロスジェネは、新卒後採用されてもすぐに解雇されるといった新卒切りに合い、正社員として定着できない状況もありました。

2019年に、政府がロスジェネ対策を始めましたが、ロスジェネを1993年から2004年に学校を卒業した者として、2021年現在37歳から46歳(昭和50年から昭和59年生まれ)(1975年~1984年生まれ)を定義しました。

2018年の調査において、内閣府は、35歳から44歳(1689万人)の雇用形態等内訳を

正規の職員・従業員916万人
非正規の職員・従業員( うち正規雇用を希望していながら、現在は非正規雇用で働いている者 )
※パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員、嘱託、その他に該当する者
371万人
(うち50万人)
非労働力人口(うち無業者)
※「無業者」の定義は、非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者
※「無業者」には就業を希望しなが ら、様々な事情に より求職活動をしていない長期無業者や社会参加に向けて より丁寧な支援を 必要とする者 などが含まれる
219万人
(うち40万人)
自営業主・家族従業員94万人
役員46万人
完全失業者33万人
その他
※従業上の地位不詳と就業状態不詳の合計
9万人
合計(端数処理の関係で合計が一致しない場合があります。)1688万人

と作成しています。

非正規雇用者は、1689万人中371万人となっており、全体の約22パーセントとなっています。また、正規雇用を希望しながら非正規で働いている者は、1689万人中50万人となっており、この50万人は、現職の雇用形態(非正規)についた主な理由が「正規の職員・従業員の仕事がないから」と回答した者です。そのため、潜在的な正規雇用を希望している者も想定され、その者を加えると50万人以上と予想されます。

満足して非正規雇用で働いている者もいると思いますが、非正規雇用であることの問題は、正規雇用に比べ、給料が少ないなど不利な条件で働いていることです他の世代に比べ、就職難から卒業時に非正規とならざるを得なかったロスジェネ達が、いまだ非正規から脱出できずに、望まない形で働いている状況の者達が50万人以上いるのが問題となっています

ひきこもりが多い

ひきこもりとは、平成30年度の厚生労働白書では「様々な要因の結果として、社会的参加を回避し、原則的には6か月以上にわたっておおむね家庭内にとどまり続けている状態を指す現象概念」と定義されています。

また、内閣府は、ひきこもり状態にある者を「ふだんどのくらい外出しますか。」との問いについて、下記の1から4に当てはまる者

  1. 趣味の用事のときだけ外出する
  2. 近所のコンビニなどには出かける
  3. 自室からは出るが、家からは出ない
  4. 自室からほとんど出ない

であって、「現在の状態となってどのくらい経ちますか。」との問いについて、6か月以上と回答した者とし、

  • 自営業・自由業を含め、現在、何らかの仕事をしていると回答した者
  • 身体的な病気がきっかけで現在の状態になったと回答した者
  • 現在の状況を専業主婦・主夫、家事手伝いと回答したか、現在の状態になったきっかけを妊娠、介護・看護、出産・育児と回答した者のうち、最近6か月間に家族以外の人とよく会話した・ときどき会話したと回答した者

は除くとひきこもりを定義しています。

内閣府は、平成30年度(2018年度)に満40歳から満64歳までの者を対象としたひきこもりの実態調査を行っており、それ以前に実施された平成27年度(2015年度)の満15歳から満39歳までの者を対象にひきこもりの実態調査と比較した結果を紹介しています。

その内容は

  • 平成30年度調査の結果により、全国の満40歳から満64歳までの人口(4,235万人)のうち、61.3万人がひきこもり状態にあると推計された
  • 平成27年度に実施した満15歳から満39歳までの者を対象とした調査でも人口(3,445万人)のうち、54.1万人がひきこもり状態にあると推計されている。
  • 男女比率は、「男性」が76.6%、「女性」が23.4%であり、「男性」の割合が平成27年度調査の結果である63.3%よりも高かった
  • ひきこもりの状態になったきっかけは、「不登校」と「職場になじめなかった」が最も多かった平成27年度調査の結果とは異なり、多かった順に、「退職したこと」、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」、「職場になじめなかったこと」であった。

の結果が報告されています。

調査結果を見てみるとひきこもりがロスジェネに特に多いと結果というわけではありません。他の資料も探してみましたが、先ほど紹介した内閣府の実態調査以上の詳細なひきこもり調査も見当たりませんでした。よって、ロスジェネは、他の世代に比べ、ひきこもりが特に多いや少ないということは分かっていない状況です。

しかしながら、調査結果にあったようにひきこもりが若い世代だけの問題ではなく、40歳以上にもひきこもりがたくさんいる結果が判明しました。

ひきこもりの人の面倒を見ているのは親ということも多く、ひきこもりの人が年を取っていけば、親も高齢となり、いずれ親も働けなくなり、介護も必要とされてきます。そのような状態が80代の親と50代の子の親子関係で成立しやすくなります。その親子関係の一部では、社会から孤立した状態となり、孤立死、一家心中、親の死体遺棄、親の年金・生活保護費の不正受給、ニートによる生活保護費の受給等の問題引き起こされやすくなるため、その親子関係の問題を8050問題と呼んで迅速に対応すべき問題されています。

ロスジェネには、非労働力人口のうち、家事も通学もしていない「無業者」が40万人いるということから、容易にひきこもり等の人が多くいるということも想像できます。 ロスジェネ達が50歳に至ろうとしている現状であり、8050問題を考えるとロスジェネのひきこもりの多さも問題になっています。

未婚者が多い・出産をあきらめた人が多い

平成29年(2017年) の総務省の就業構造基本調査によれば、35~39歳の大卒男子正社員では未婚率が24.7%であるのに対して、派遣・契約社員では同60.6%、パート・アルバイトでは同79.4%と高くなっています

これは、派遣や契約社員では、正社員と同じ仕事をしても、正社員の給料の数分の一しかもらえず、パート・アルバイトでは、生活保護以下の賃金しか得ていない者もいます。そのような状況から親の給料や年金をあてにし、親と同居を長く続けるロスジェネも多くいます。そのため、収入もなく、将来に対する不安から結婚を躊躇したり、結婚をしてても子供を育てる際の費用を心配するあまり、子供を作るのを諦めるロスジェネも多くいます。

また、ロスジェネ達が結婚や出産の適齢期だった時代は、女性の寿退社があたりまえであったり、育休が許されない会社の社風であったり、女性のみが育児をするといった考えがあったり、産休や育休が許され復職しても降格や減給されたりといったマタニティーハラスメントが多かった時代を生きていました。このようなことからも仕事を優先し、子供を作るのを諦めたロスジェネもいました。

まず、男性の未婚率ですが、厚生労働省の「人口労働調査」では、 男性未婚率の推移が  

男性未婚率の推移35歳~39歳40歳~44歳
平成2年
(1990年)
昭和26~30年(1951~1955年)生
19.1%
昭和21~25年(1946~1950年)生
11.8%
平成12年
(2000年)
昭和36~40年(1961~1965年)生
26.2%
昭和31~35年(1956~1960年)生
18.7%
平成17年
(2005年)
昭和41~45年(1966~1970年)生
31.2%
昭和36~40年(1961~1965年)生
22.7%
平成22年
(2010年)
昭和46~50年(1971~1975年)生
35.6%
昭和41~45年(1966~1970年)生
28.6%
平成27年
(2015年)
昭和51~55年(1976~1980年)生
35.0%
昭和46~50年(1971~1975年)生
30.0%

となっており、平成27年(2015年)におけるロスジェネである40歳前後の男性の未婚者は3人に1人はいるという結果でした。また、過去の調査結果に比べ、40歳前後の男性未婚率は上昇傾向であることが認められます。

女性の未婚率については、平成27年(2015年)の国勢調査に基づくと、35〜39歳の未婚率は23%、40〜44歳の未婚率は19%となっています。平成17年(2005年)の調査と比較して、35〜39歳の未婚率は5ポイント、40〜44歳の未婚率は7ポイント上昇しています。平成27年(2015年)におけるロスジェネである40歳前後の女性の未婚率も上昇傾向であることが認められます。

ロスジェネ達は、未婚者が多い、出産をあきらめた人が多いといった問題があります。内容を見てみると不安定な身分で働いている人が多いのが理由ではないかと思います。

安定した正社員に比べ、非正規である派遣・契約社員やアルバイトの未婚率は高いという結果がありました。

ロスジェネ達は、過去に比べ、未婚率が上昇しているという結果もありました。

未婚率が上昇すれば、出産数が減ることは容易に想像できます。さらに職が安定していなければ、出産をあきらめる家庭が多くいることも容易に想像できます。出産が少なくなれば、子供が減り、労働力世代が減り、国力が弱くなることになるため、国家の根幹にかかわることになります。

ロスジェネも50歳に差し掛かろうとしており出産も不可能となる人もでてくる年齢となってきています。出産を増やそうにも、もう取り返しのつかない状況になっているかもしれません。

歴史にもしやたらればはいけないかもしれませんが、ロスジェネ達が高校や大学を卒業した時に景気が悪くなければ、この問題はなかったかもしれません。当時、学生たちに自己責任という言葉を押し付けずに政府や企業が就職対策を取っていれば、ロスジェネ達は、非正規で働くことなく正規雇用で働き、結婚し、経済的な心配もなく子供を授かり、国家という家に一員を多く増やすことになっていたかもしれません。

未婚者が多く、出産をあきらめた人が多いという問題は、大きな視点でとらえると、国家の根幹に関わってくる問題です。ロスジェネの前期の人は、第2次ベビーブームに生まれた人が多く、第3次ベビーブームとなるといわれていましたが、結果として第3次ベビーブームは起こらず、その理由が、就職氷河期があったからと言われています。このロスジェネに未婚者が多く、出産をあきらめた人が多いという問題は、重要な問題であると言わざるをえません。

消費支出が少ない

消費支出の推移は、おおむね所得推移と連動するといわれています。日本の企業などは、年功序列型賃金となっており、年齢ととともに給料が上がっていく仕組みをとっているところが多くあります。そのため、子供にかかる費用、家や車などの購入などから40代後半に向かって、所得の伸びとともに一般的に消費支出額が一段と高まると言われています。

しかし、所得推移と消費支出の推移が一致しない時は、所得が減った時や増えた時の年齢で対応の違いがあるといわれており、残りの生涯所得を大まかにイメージして消費や貯蓄をコントロールしていると考えられています。

そのため、ロスジェネ達は、就職した時から上司・先輩ほどの給料は貰えないという認識もあり、早い段階から生涯所得をイメージし、対応を考えていたこともあり、過去の世代に比べ、消費支出が少ないと言われています。

また、総務省「全国消費実態調査」によれば、2014年における就業形態別の1カ月間の消費支出は、正規雇用者が非正規雇用者に比べて、二人以上の世帯では6万円強、単身世帯では5万円前後多くなっています。非正規で働く人が多いこともロスジェネの特徴なので、その特徴からも消費支出が少ない原因ともなっています。

ロスジェネ達は、働き盛りなのにお金を使えない、使わないという状況があります。ロスジェネ達の個人消費が伸びなければ、経済成長にとってマイナス要因となります。一般的に消費支出額が一段と高まるはずの40代後半に1700万人ともいわれるロスジェネ達がさしかかることで、本来期待されるはずの消費の拡大が起こっていないことは、問題になっていますロスジェネ達の生涯所得を上げたり、非正規雇用者を減らしたりするなどの対策が急務と考えられています。

まとめ

ロスジェネの問題は、すべて就職にあるように思います。新卒で安定した就職先があれば、非正規雇用で働くこともなく、ひきこもりになる人も少なかったのではないかと思います。また、安定した給料を貰って働けていれば、将来の見通しもたち、結婚し、出産し、必要に応じて消費支出をしたと思います。

ロスジェネ達の多くが人生の重大な局面で就職先が無いという状況から始まりました。その始まりからロスジェネ達は立ち上がれず、その後も立ち直れない状況が続いてきました。ロスジェネ達は、安定した就職をしていなかったことに対して、「努力が足りない」等と他人に言われ、自己責任論を押し付けられ、自分の現状を責め、我慢してきました。

ロスジェネの問題は、決してロスジェネ達自身の責任ではありません。今になって、ロスジェネの問題が大きな問題だと把握し、政府や自治体等も動き始めました。歴史に「もし」はいけないかもしれませんが、ロスジェネ達の新卒時に、自己責任論など押し付けずに政府等が就職対策をとっていれば、このような問題は大きくなっていなかったと思います。

今、苦しんでいるロスジェネ達のその苦しみは、決してあなたの責任ではありません。時代の責任です。遅らばせながら、ロスジェネ達の問題に真摯に向かい合い、政府、自治体、企業等の様々な策も出てきました。ロスジェネ達にとって決して遅くは、ないはずです。失われた人生を取り返すように策を利用して、少し頑張ってみましょう。

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